研究概要 |
DNA複製を行う複製フォークには多数の因子が存在し、様々な制御を受けているがその機構は未知な部分が多い。申請者は、ユビキチンリガーゼSCF^<Dia2>複合体およびRtt101-Mms1-Mms22複合体が複製フォークに局在し、複製フォークの進行の制御に関わることを報告した。本研究では、これらのユビキチンリガーゼがどのように複製フォークの進行を制御しているのか、その分子機構を明らかにすることを目指す。 Dia2のN末端にあるTPRモチーフと、Rtt101複合体のサブユニットMms22はいずれも複製フォークの構成タンパク質であるCtf4と結合していることを示した。Ctf4がこれらユビキチンリガーゼの複製フォーク局在のための足場となっていることが考えられる。Ctf4は過剰発現により増殖阻害を引き起こすがその機構はわかっていない。私たちはCtf4の過剰発現によりS期に遅延が起きること、複製ストレスに感受性となることを明らかにした。様々なCtf4断片を過剰発現させ細胞増殖への影響を調べたところC末端の27アミノ酸を欠くと過剰発現しても増殖阻害を引き起こさないことがわかった。Ctf4と結合する複製因子をツーハイブリッド法で調べたところ、今まで結合が知られていたPol1,Sld5,Ctf4,Dia2のほか、Cdc45,Mcm2,Mrc1との結合が確認された。これらのうちCdc45,Mcm2はCtf4のC末端27アミノ酸が結合に必要であった。以上の結果より、Ctf4の過剰発現はCdc45,Mcln2との過剰な結合を介して増殖阻害を引き起こすことを考えている。これらの結果は複製フォークの制御機構の一端を反映していると思われる。
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