研究概要 |
本研究課題は、申請者らの研究グループが中心になりこれまでに行ってきた大腸菌小分子RNA(sRNA)であるSgrSによるptsG mRNA抑制の分子機構についての研究成果に基づき、SgrSの作動原理を明らかにすることを目的にする。平成23年度においては、sRNAの一つであるSgrS sRNA/ptsG mRNA(標的mRNA)をモデル系として、系統的なSgrS点変異解析を行い、SgrSの220-227塩基の連続したU塩基がSgrSとHfqとの機能的結合に必須であることを示した(論文1)。また、同様に大腸菌sRNAであるRyhBの3'末端に位置する連続したU塩基がRyhBとHfqとの機能的結合に必須であることを示した(論文1)。さらに、いくつかのsRNAにおいても3'末端に位置する連続したU塩基がsRNA機能に重要であることを示した(論文1)。これらのことは、sRNA作動原理を理解する上で必須である、sRNA/Hfq結合の一般原理の解明に直結する、重要な発見である。また、sRNAの1つであるDicFをモデルsRNAとして、sRNA機能における転写終結の重要性を示唆する結果を得た。転写終結により合成されるDicFはHfqと結合するのに対して、転写終結領域で転写が終結しなかったDicFリードスルー産物は、Hfqと結合しなかった。これは、sRNAの合成と機能を結びつける興味深い結果である。この結果は、The 16^<th> Annual meeting of the RNA society, 第13回日本RNA学会総会合同会で報告した。
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