研究課題/領域番号 |
22770176
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
高山 優子 久留米大学, 分子生命科学研究所, 助教 (90461467)
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キーワード | セントロメア / ヒストン / 分裂酵母 / 細胞周期 / スクリーニング |
研究概要 |
分裂酵母CENP-Aのセントロメア局在化は細胞周期のS期とG2期の2回チャンスがあり、G2期の局在化は、細胞致死回避のバックアップとして働いていることが示唆された。そこで、このバックアップ機構に関わる因子の同定を試みた。 Ams2weel二重変異株が致死になることを利用し、致死性を回避できる遺伝子のスクリーニングを行った。おおよそ10万コロニーをスクリーニングし、チアミン添加(Ams2発現抑制)培養条件下、細胞生育可能な209クローンを得た。これらの細胞からゲノムライブラリーを回収後、PCRによりAms2,histone,wee1遺伝子(positive control)を除外した。候補遺伝子は5つで、ヒストンメチル化に関連する因子、RNA結合モチーフを持つ新規遺伝子が得られた。もう一つrDNA遺伝子が候補として得られたが、サプレッサープラスミド自身が変化している可能性があり現在のところ確定に至っていない。候補遺伝子の多コピー型プラスミドおよびRep型プラスミドを作製し、Ams2 wee1二重変異株に対する致死性の抑圧能を再確認した。RNA結合モチーフを持つ新規遺伝子は強く抑圧したが、ヒストンメチル化酵素関連因子の抑圧能は弱いことがわかった。 それぞれの遺伝子破壊株を2段階PCRにより作成したところ、どれも生育可能であった。現在Ams2やcnp1との2重変異株等作製しており、今後CENP-Aのセントロメア局在との関連を遺伝学的に調べる予定である。また、たんぱく質の細胞内局在や発現量を解析するため、遺伝子C末側にエピトープタグ(GFPおよびFlag)の導入を行った。Western blotにより、たんぱく質が発現して検出可能であることが確認できた。今後細胞周期を同調した実験を行う必要があるため、現在cdc25変異の導入などを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に示した(1)G2期CENP-Aセントロメア局在に関わる因子のスクリーングは完了した。予想以上にpositive controlであるヒストン遺伝子やAms2が数多く取得されたものの、新規因子の獲得に成功した。研究計画(2)新規因子の遺伝子破壊株の作成は完了し、現在表現型の解析を進行中である。 (2)については、当初の計画から年度をまたいで解析を行う予定であったので、計画通りにおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングがうまく働いている指標として、Ams2が取得されることを一つの目安にした。実際、Ams2はスクリーニングで多くの陽性コロニーとして得られた。そのなかで、完全なAms2遺伝子でなくとも、Ams2 wee1二重変異株の致死性を抑圧できることがわかった。この結果は、Ams2遺伝子のドメイン解析が重要であることを示している。今後Ams2遺伝子点変異など作成し、それらの変異遺伝子を含めてAms2たんぱく質のドメイン解析とCENP-Aの機能について検討していく予定である。
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