研究課題
分裂酵母CENP-AのG2期にみられるセントロメア局在化は細胞致死回避のバックアップとして働いていることが示唆されている。そこで、このバックアップ機構に関わる因子の探索を行い、昨年度までに候補遺伝子5つを同定した。候補遺伝子の1つで、RNA結合モチーフを持つ新規遺伝子について解析を進めた。初めに新規遺伝子が細胞周期のどの時期に発現しているかを調べるために、新規遺伝子C末端にエピトープタグを導入したcdc25変異細胞を作成した。Cdc25変異によりG2期に同調できたが、その後の細胞周期進行に異常を示したため、残念ながら結果を得ることができなかった。新規遺伝子機能を調べるために、遺伝子破壊株を作製した。遺伝子破壊細胞は生育可能であることから非必須遺伝子であることがわかった。遺伝子破壊株が作成できたので、CENP-Aのセントロメア局在に関わる遺伝子との遺伝学的相互作用について検討を行った。すると、S期におこるCENP-Aのセントロメア局在に必要な因子であるAms2との2重遺伝子破壊株は、合成致死になることがわかった。さらにAms2との2重遺伝子破壊株におけるCENP-Aの局在を確認したところ、ほとんどの細胞でCENP-Aがセントロメアに局在できないことがわかった。これら結果は、新規遺伝子がG2期のCENP-Aのセントロメアの局在化に重要な役割を持つことを示唆している。一方、野生株に新規遺伝子を高発現させると細胞増殖が阻害されることがわかった。分裂酵母では主にS期にCENP-Aがセントロメアに局在することがこれまでの研究でわかっている。この細胞増殖阻害現象について、現在のところ「G2期のCENP-Aセントロメア局在は、細胞致死に対抗するための緊急回避であり、G2期バックアップを使ったセントロメアには何らかのダメージが起こっている可能性」を考えている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genome Research
巻: 23 ページ: 705-715
doi:10.1101/gr.146357.112