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2011 年度 実績報告書

DNA損傷の感知機構と修復機構のリン酸化による切り換えメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22770178
研究機関京都大学

研究代表者

古谷 寛治  京都大学, 放射線生物研究センター, 講師 (90455204)

キーワードDNA損傷 / DNA修復 / チェックポイント / リン酸化
研究概要

私達の細胞が持つ染色体DNAは紫外線や放射線、酸化ストレスによる損傷の危険に曝されている。その損傷は(1)DNAチェックポイント機構により感知したのちに(2)DNA修復機構により直される。すなわちDNA損傷の的確な修復には速やかに検出され、正確に修復される必要があり、検出・修復の二つの機構が連携する事が重要であると考えられた。本研究ではこれまでのDNA損傷修復研究の中でも未解明であった、この連携機構の分子基盤を明らかにする事を目的とした。申請者はなかでもチェックポイント機構がDNA損傷を検出した後速やかに解離する事でDNA損傷の修復機構が損傷部位へとアクセスしやすくなっているとの仮説を建てた。初年度はリン酸化修飾がチェックポイントタンパク質Rad9の損傷部位からの解離を促すとのモデルを建て、検証し、論文として報告した。リン酸化は段階的に起こっており、一種のフィードバック制御と考えられる。本年度はRad9のフィードバック制御がDNA損傷ストレスのあとだけではなく、通常の生育時にも重要な役割を持つのではと考え、更なる解析を進めた。クロマチン沈降法を用いる事で、フィードバック制御が起こらない変異Rad9タンパク質は染色体末端領域に強く結合したままである事を示す事が出来た。変異Rad9タンパク質を発現する細胞は生育が遅く染色体分配に異常を示したため、フィードバック制御によりDNA上の様々な活動が協調を受けていると予想された。さらに申請者はフィードバック制御の有無をヒト培養細胞へと発展させる事が重要であると考えた。ヒトRad9タンパク質にも同様のリン酸化部位があり、変異遺伝子を発現する細胞は顕著な生育遅延の表現型を示す事が出来た。これら一連の結果により、申請者が提唱した連携機構がDNA損傷応答時だけでなく常に働く必要のあるリン酸化フィードバック制御である事、また、酵母からヒトまで共通の普遍的制御である事を示唆する結果を得る事が出来、DNA損傷応答研究の重要な課題の一つの分子説明に近づけたと考えている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Comparative Functional Genomics of the Fission Yeasts2011

    • 著者名/発表者名
      Rhind N、古谷寛治, ら計47名
    • 雑誌名

      Science

      巻: 332 ページ: 930-936

    • DOI

      10.1126/science.1203357

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Breakage of the nuclear envelope by an extending mitotic nucleus occurs during anaphase in Schizosaccharomyces japonicus2011

    • 著者名/発表者名
      青木敬太、古谷寛治、仁木宏典, ら計8名
    • 雑誌名

      Genes to Cells

      巻: 16 ページ: 911-926

    • DOI

      10.1111/j.1365-2443.2011.01540.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Construction of Diploid Zygotes by Interallelic Complementation of ade6 in Schizosaccharomyces japonicus2011

    • 著者名/発表者名
      古谷寛治、仁木宏典
    • 雑誌名

      Yeast

      巻: 28 ページ: 747-754

    • DOI

      10.1002/yea.1898

    • 査読あり
  • [学会発表] The regulation of checkpoint proteins by checkpoint kinase ATR and DNA replication kinase DDK2011

    • 著者名/発表者名
      古谷寛治
    • 学会等名
      日本分子生物学会年会・ワークショップ
    • 発表場所
      神奈川県横浜市、パシフィコ横浜
    • 年月日
      2011-12-16
  • [学会発表] REGULATION OF DNA DAMAGE CHECKPOINT SIGNALLING THROUGH PHOSPHORYLATION2011

    • 著者名/発表者名
      古谷寛治
    • 学会等名
      The 27th RBC-NIRS International Symposium
    • 発表場所
      京都市、コープイン京都(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-09
  • [学会発表] チェックポイントタンパク質のDDKキナーゼ依存的な制御機構2011

    • 著者名/発表者名
      古谷寛治
    • 学会等名
      第21回「DNA複製・組換え・ゲノム安定性制御ワークショップ」
    • 発表場所
      福岡県福津市、サンピア福岡
    • 年月日
      2011-10-25
  • [学会発表] 複製キナーゼDDKに依るチェックポイントタンパク質の制御2011

    • 著者名/発表者名
      古谷寛治
    • 学会等名
      ゲノム損傷応答研究会
    • 発表場所
      静岡県三島市、国立遺伝学研究所
    • 年月日
      2011-10-15
  • [備考]

    • URL

      http://www.rbc.kyoto-u.ac.jp/archive.html

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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