自発的パターン形成原理を理解するためには、パターン形成初期過程におけるゆらぐシグナル入出力パターンを細胞単位で計測する事が必須である。本研究では最大10万個の細胞を対象に、細胞間シグナル伝達の時空間パターンを、単一細胞の解像度で計測することを可能にする超高感度指示薬の開発を行った。細胞間シグナルのうち入力シグナルである細胞外cAMP濃度変化を定量計測するため、乖離定数が50 nMという極めて感度の高い蛍光型FRETプローブの開発に成功した。また、細胞内/細胞外cAMPダイナミクスを同時計測する事を目的に、化学発光型BRETプローブの開発も行った。得られたプローブのcAMPへの感度特性はKd=50 nM-3μMであり、これらを併用する事で細胞内部と細胞外cAMP濃度変化を鋭敏に検出できることが明らかになった。
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