研究課題
前年度では、VarpとRab32/38間における結合能を消失する点変異体をVarp、Rab32/38双方で得ることに成功していた。引き続き、メラニン合成酵素Tyrp1輸送に対するVarpとRab32/38複合体の生理的機能解析を試みた。Rabには内因性GTPアーゼ活性が存在する。既に得ているRab32(V92A)変異体、Rab38(V78A)変異体(:Varpと結合できない点変異体)について、このGTPアーゼ活性が亢進している可能性が考えられた。そこで、Rab32/38変異体についてGTPアーゼ活性をin vitroで測定したところ、野生型Rab32/38との差が認められなかった。従って、Rab32/38点変異によるGTPアーゼ活性上昇の可能性は棄却することができ、Rab32/38変異体はエフェクターであるVarpとの結合性に異常をきたすものと結論づけた。次に、Rab32/38変異体とVarp変異体の色素細胞における局在を検討した。野生型Rab32/38と野生型VarpはTyrp1陽性小胞上に局在した。野生型Rab32/38と変異型Varpを発現させると、Rab32/38はTyrp1陽性小胞に局在するものの、変異型VarpはTyrp1陽性小胞に局在できなかった。一方、変異体Rab32/38はメラノソームに局在するものの、野生型VarpがTyrp1陽性小胞にリクルートされなかった。これらの知見と前年度の成果を併せて考えると、Tyrp1陽性小胞においてRab32/38とVarpが複合体を形成することが、Tyrp1のメラノソームへの輸送に必須である考えられた。さらに、Varpの二つのアンキリンリピートに挟まれた領域にVAMP7が結合し、Varp-VAMP7間の結合はTyrp1輸送に必須であるとの知見を得ることができ、今後のメラニン合成酵素輸送とSNAREの関連性について研究の起点となりうるものと期待される。
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