研究課題
ある種の細胞(肝細胞、心筋細胞)では、細胞質分裂を伴わない核分裂が行われることで、二核状態が作り出される。しかしながら、二核化機構およびその意義については不明な点が多い。本研究では、二核細胞のモデルとして、ショウジョウバエ附属腺を用いている。22年度の研究では、二核化の意義を調べるために附属腺上に人為的に一核細胞の創出を試みた。さらに、二核化を制御する遺伝子の探索を行った。一核細胞を作り出すために、申請者は二核化時における核分裂を遺伝的に抑制すること試みた。染色体分配に重要な働きをはたすmad2/SACのノックダウンを行うことで、30%程度の頻度で一核細胞を作り出すことに成功した。さらに、M期特異的なサイクリン阻害因子であるfzr/APCの強制発現を行った場合は、高確率(>50%)に一核細胞を作り出すことができた。上記の方法で作り出された一核細胞の機能を、二核細胞での場合と比較することで、二核化の機能的意義を検証する予定である。二核化時には、中心紡錘体・収縮環形成が抑えられるために細胞質分裂が抑えられる。そこで、細胞質分裂を抑える遺伝子を明らかにするために、中心紡錘体形成・収縮環形成に関与する遺伝子を標的とした候補遺伝子に対するスクリーン及び、EMS突然変異体スクリーンを行った。前者では、二核化時に中心紡錘体形成を抑えている因子としてMud/NuMAを同定できた。後者では、二核化時において核の数が増える、#27突然変異体を得た。#27突然変異体の責任遺伝子は、染色体欠損系統との相補性テストにより5遺伝子まで絞り込んでいる。今後これら5遺伝子について、塩基配列を決定することで突然変異体の責任遺伝子を同定する。
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Developmental Biology
巻: 344 ページ: 693-706
DOI:10.1016/j.ydbio.2010.05.501
http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~e090001/index.html