研究課題
「脊椎動物心臓形成時におけるヒアルロン酸依存的シグナル経路」を解明し、既存の方法よりも大きく優れた心筋誘導系を確立するために、ヒアルロン酸によって発現が維持誘導される遺伝子をツメガエルのin vitro心筋誘導系から単離した。具体的には、以下のin vitro実験系を行い、共通にクローズアップされた遺伝子をヒアルロン酸下流候補遺伝子として同定した。(1)「非心臓誘導条件の腹側帯域」と比べて「dkkl mRNAを過剰発現させた心臓誘導条件の腹側帯域」において発現量が上昇する遺伝子。(2)「dkkl mRNAを過剰発現させた心臓誘導条件の腹側帯域」と比べて「ヒアルロン酸合成酵素の翻訳阻害をした心臓誘導条件の腹側帯域」において発現量が減少する遺伝子。(3)「dkkl mRNAを過剰発現させた心臓誘導条件の腹側帯域」と比べて「ヒアルロン酸合成酵素の阻害剤で処理した心臓誘導条件の腹側帯域」において発現量が減少する遺伝子。一般的に単独の条件でディファレンシャルスクリーニングを行うと、擬陽性が多く狙い通りの遺伝子を単離しにくいが、複数の条件を重ね合わせることにより、より信頼性が高く効率の良いスクリーニングを行うよう工夫した。dkkl mRNAの濃度、ヒアルロン酸合成酵素Xhas2の翻訳阻害のためのAntisense MOの濃度、ヒアルロン酸合成酵素阻害剤の濃度を検討し「(1)の条件ではNkx2.5が発現するが、(2),(3)の条件では発現しない」ように最適化した。その条件でのスクリーニングの結果、332種の候補遺伝子を同定した。機能既知の遺伝子の約1/3は既に心臓形成過程において重要な遺伝子であることが判明しており、心臓形成に関わるヒアルロン酸依存的シグナル経路のファクターであることが示唆された。現在は、それらの遺伝子の発現領域を解析している。
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