研究課題
昨年度までの成果として、マイクロアレイによって、多くのヒアルロン酸依存的シグナル経路の候補遺伝子を同定した。これら同定された338種類の遺伝子の内、92種類は断片的な配列情報しかないESTであるため、これらの遺伝子については解析対象外とした。さらに、残りの246種類の遺伝子の内、すでにツメガエルの各器官形成に対する機能が分かっている遺伝子が163種類あり、これらの遺伝子においても解析対象外とした。その結果、83種類の遺伝子が残った。これらの遺伝子は(1)ツメガエル以外で心臓形成に関与が示されているもの、(2)全生物において機能未知なものである。よって、これらの遺伝子を今後の解析対象とし、MA69からMA155とナンバリングした。さらに、候補遺伝子の中でも心臓で発現している遺伝子および心臓形成との関与が示される血管・血球・肝臓で発現している遺伝子についてより絞込みを行うために、これらの遺伝子に対してWhole mount in situ hybridizationを行い、それぞれの発現領域を解析した。解析には、stage8、10、12、15、18、23、28、34、38、44のツメガエル胚を用いた。その結果、心臓での発現が検出された遺伝子は、MA4、MA115、MA121、MA128、MA135、MA140の6種類であった。また、心臓形成に関与していると思われる血管での発現が検出された遺伝子が6種類であった。さらに、Xhas2の翻訳が重要であると示唆された肝臓での発現が検出された遺伝子は4種類、血球での発現が検出されたのは12種類であった。この結果から、マイクロアレイによって同定した遺伝子の中でも、心臓形成においてヒアルロン酸の制御化にあり、かつ心循環系で発現している新規の遺伝子が明らかとなった。よって、今後はこれらの遺伝子の機能解析を行っていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題では、殆ど理解が進んでいないヒアルロン酸支配下のシグナル経路を、両生類モデル生物の利点を駆使して明らかにするものである。今年度はその特性を生かした大規模スクリーニング及び網羅的な発現解析を行い、新規心臓形成関連遺伝子を多数同定した。よって上記の評価とした。
これからは、同様に両生類モデル生物の利点である、「胚へのマイクロインジェクションによる過剰発現系」を駆使して、網羅的に機能解析を推進する予定である。
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