本年度は、脳のパターン化(区画化)のメカニズムの解明を目的として、ゼブラフィッシュ胚菱脳境界形成過程における細胞挙動のイメージングを行った。正立型共焦点レーザー顕微鏡により10μmの光学切片像を10μmの間隔をあけて3切片分30秒間隔で取得した。細胞の混じり合いが制限され、ロンボメアが形成されて行く過程を世界で初めて捉えることが出来た。また、細胞の選別後に形態的ロンボメア境界が形成された後も、境界の細胞は分裂を繰り返しており、形態学的境界がよりダイナミックにリアレンジされていることが明らかとなった。 ロンボメア境界形成におけるEphA4およびephrinB3bの機能を明らかにするために、EphA4とephrinB3bのノックダウン胚における細胞挙動を2.0μmの2分間隔のタイプラプスイメージングにより解析した。r3細胞はインターカレーションが起きる前に、細胞の移動方向を胚の前後軸方向に変え、本来のr4の領域に侵入し、さらに、r4の細胞も本来の細胞移動方向と異なり、胚の前後方向に移動していた。これらの結果から、境界が形成されるためには、EphA4発現細胞とephrinB3b発現細胞が接触することで、細胞の極性および将来境界を作る細胞の形態変化が正確に制御されることが必要であると考えられた。
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