研究課題
脊椎動物の発生において、頸部より尾側の組織(体幹部組織)は、発生の進行と共に産み出される。この過程において、胚の尾端に存在する原条領域や、尾側は体幹部組織への細胞供給元として振る舞うことが知られている。最近の研究では、原条周辺領域には神経系原基細胞と中胚葉細胞を生みだす共通前駆体細胞(体軸幹細胞)が存在し、胴部体軸の細胞供給源として機能していることが、細胞系譜の実験から示されている。平成22年度に行った研究で、体軸幹細胞から神経系原基細胞、中胚葉細胞への分化は、それぞれSOX2とTBX6という2つの転写制御因子によって制御されていることを明らかにした。そこで、これら2つの遺伝子がどういった制御によって発現が規定されているのかを明らかにすることを目指した。特に、Tbx6遺伝子の発現制御機構の解析を行った。Tbx6遺伝子を含むゲノム領域を細分化し、細分化されたゲノム断片がエンハンサー活性を示すかを、トラセスジェニックマウス胚の作成、および、エレクトロポレーション法によるニワトリ胚への遺伝子導入によって解析した。原条領域におけるTbx6の発現開始を担うエンハンサーを見出した。詳細なエンハンサー解析を行い、Tbx6遺伝子の発現を制御する上流の転写因子の同定を行った。
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