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左右軸の形成は、左右相称動物において、前後軸や背腹軸とともに重要な基本属性の一つです。左右非対称牲に関する研究は、脊椎動物を中心に行われており、そのメカニズムが明らかになりつつあります。しかしながら、左右の位置情報をもとに個々の細胞の変化が臓器レベルの左右非対称性につながるプロセスについては、あまりよく理解されていません。私たちは、ショウジョウバエの消化管をモデルとして、消化管が左右非対称な形態をとるのに先立ち、消化管を構成する個々の上皮細胞において、細胞形状や中心体の位置に左右極性があることを明らかにしています。本研究では細胞レベルの左右極性が形成される分子機構を明らかにし、左右非対称な臓器形態ができるプロセスを理解することを目的としています。
私たちは、これまでの研究から、ショウジョウバエの左右非対称性に異常を示す突然変異体を多数同定することに成功しています。Myosin31DF突然変異体やDE-Cadherin突然変異体において消化管を構成する細胞の形状や中心体の位置を調べたところ、細胞レベルの左右極性が異常になっていることが明らかになりました。したがって、これらの遺伝子は、細胞レベルの左右極性を制御することで臓器形態の正常な左右非対称性を形成している可能性が考えられます。また、細胞内の局在を調べたところ、細胞間接着に関与するDE-Cadherinが左右非対称に細胞膜に分布しており、細胞形状を左右非対称にする上で直接的な機能をはたしていると考えられます。今後は、細胞形状や中心体の左右極性ができるプロセスをライブイメージングで撮影し、野生型と突然変異体の間で比較することで、Myosin31DFやDE-Cadherinがどのステップで機能しているかを明らかにしていきます。
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