研究課題
アフリカツメガエルの初期発生における背腹軸形成は、形成体と呼ばれる組織が外部の変動に影響される事無く、正しい発生を保証している(頑強性)。平成22年度は、この頑強性を定量的に解析することを目標に、転写、分解および拡散に注目し、in vivoにおける解析を行った。(1)転写に関しては、腹側誘導因子であるBMPとその抑制因子であるChordinをいろいろな濃度で胚にインジェクションし、それに伴う転写の変動を、定量PCR法を用いて評価した。(2)分解に関しては、Flagタグを付加したChordin、BMPなどを胚にインジェクションした。その後いろいろな時間で胚を回収し、Flagビーズで免疫沈降した後、ウェスタンブロッティング法により各々のタンパク質の安定性を評価した。(3)拡散に関しては、3種類の方法を用いて評価を行った。一つめは、in situ法によりインジェクションしたmRNAの効果がどの程度まで胚の中を拡散しているか解析した。二つめは、V5タグを付加したmRNAをインジェクションし、免疫染色法により直に各々のタンパク質の拡散度合いを評価した。最後に、より動的に拡散を定量するために、Venusを各々のタンパク質に付加した。その後、光退色後蛍光回復法(FRAP法)を用いて細胞間隙に拡散したタンパク質の拡散係数の導出を試みた。今後は、これらの定量データをもとに背腹軸が頑強性を示す数理モデルを構築したいと考えている。
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Nature
巻: 470 ページ: 503-509
Development
巻: 137 ページ: 3293-3302