研究課題/領域番号 |
22770242
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
河野 礼子 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究員 (30356266)
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キーワード | ギガントピテクス / オランウータン / 大臼歯 / エナメル質 / 類人猿 / 進化 / 中国 / マイクロCT |
研究概要 |
本研究では、アジア・アフリカ地域を中心として、化石人類および化石類人猿について、大臼歯歯冠三次元形態を詳細に比較分析し、各種の特徴を明らかにすることを目的としている。それによって同地域の化石人類・類人猿各種間の系統関係について大臼歯形状の観点からどのようなことが言えるのかを吟味するとともに、大臼歯形状の各特長の適応的意義の解釈を深めることを目指すものである。 平成23年度はとくに中国産化石類人猿のデータ取得を進めた。平成23年6月には中国・北京の中国科学院古脊椎与古人類研究所を訪問し、広西チワン族自治区崇左地域から発掘されたギガントピテクス化石の観察と研究相談をおこなった。この際に同研究所内に新設されたマイクロCT撮影装置の状況についても確認し、精度面に関して意見交換した。今後は同研究所内の装置の精度確認についても協力することとし、十分な精度が達成された場合には、同研究所においてCT撮影が実施できる見通しが得られた。また平成24年2月から3月にかけて、同研究所の張穎奇博士が来日し、マイクロCT撮影を実施し、データの分析方針についても意見交換をした。 本研究の主目的は大臼歯3次元形状の機能適応的な意義をより詳細に吟味することであるが、大臼歯形状は形成過程の時間的・空間的な制約の中で形作られるものであるため、歯の形成過程などについても理解を深める必要がある。こうした観点から平成23年度は歯牙資料に見られる形成痕に関する先行研究などについて文献調査し、その成果を学会発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ研究計画どおりに遂行しているため
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は予定通りこれまで得られたマイクロCTデータの分析をさらに進めると同時に、インドネシア化石資料の分析についても進めていく。平成25年度に成果をまとめていくためにも、平成24年度中から成果の一部を学会発表・論文化などしていく。
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