当初計画では、既製のキットを用いることで抗原としてのグリアジンを定量する予定であったが、既製品ではアレルゲンとなるグリアジンを特異的に区別して定量することは困難であるとの判断から、ペプチド抗体を作製することにした。EST解析によるα/β-グリアジン発現遺伝子の網羅的解析と同様に、ω-グリアジン発現遺伝子の塩基配列情報および発現パターンを網羅的に収集した。塩基配列をもとにアミノ酸配列を推定した。アレルゲンとなることが報告されているα/β-グリアジンおよびω-グリアジンのアミノ酸配列を収集し、コムギアレルギーのエピトープとして報告されているアミノ酸配列を特定した。これをもとに、エピトープのアミノ酸配列のみを抗原とした3種のペプチド抗体を委託作製した。ペプチドを抗原とするELISA解析から、十分な力価をもった抗体作製に成功したと考えられた。 作製した抗体を用いて免疫ブロット解析を行うため、システムの確立を進めた。α/β-グリアジン遺伝子が座乗する6群染色体およびω-グリアジン遺伝子が座乗する1群染色体のナリーテトラソーミック系統の完熟種子から、全タンパク質またはグリアジンを含む分画のタンパク質抽出法を検討した。これらのタンパク質を、SDS-PAGEまたは2次元電気泳動により分離し、各ナリーテトラソーミック系統のプロファイルを比較した。以上のシステムを適用し、作製したペプチド抗体を用いた免疫ブロット解析を行い、アレルゲンとなるグリアジンの検出が可能かの検討を進めている。
|