ネギおよびタマネギにおいて、各種DNAマーカーの開発及び連鎖地図の作成が進んだことから、両種のゲノムシンテニーを利用した比較マッピングへの展開が期待される。しかし、これまでタマネギにおいて構築されている連鎖地図には、共通のマーカーがほとんどないことからネギとのゲノム比較は行われていない。そこで、タマネギにおいて連鎖地図を構築して、共通マーカーによりネギとのシンテニーの程度を明らかにすることを目的とする。 材料にはタマネギF2分離集団(黄タマネギ×赤シャロットの135個体)を用い、新たに1038のESTマーカーについてスクリーニングとF2集団での多型解析を行い、11連鎖群、165マーカーが座乗する全長1040cMの連鎖地図を再構築した。地図上のマーカーの座乗染色体推定ならびにタマネギ・ネギ連鎖地図との比較により、10連鎖群を8染色体に対応付け、染色体レベルではネギと矛盾する組合せは認められず、ゲノムレベルでは両種が高い保存性を有することが推定された。また昨年度秋まきマルチ栽培した各F3系統群について、5月下旬に収穫し、葉および球の一般形質を調査するとともに、分球性、着色性、抽苔性を評価し、QTL解析を行った。その結果、DFR遺伝子がタマネギの着色に深く関与していることが強く示唆された。また、葉身折径および抽苔性に関するQTLの一部は、これまでネギにおいて見出したQTLと同じ連鎖群上で検出されたことから、両種において共通のQTLによる効果である可能性が示唆された。
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