開花後の窒素追肥がコムギの子実タンパク質含有率を高める機構として、シンクサイズ決定後に吸収された窒素は葉を経由して子実に転流する経路から葉を経由しないで直接子実に向けられる経路へと変化するという仮説を立て、追肥時期を茎立ち期~登熟期の間で変えることで検証した。その結果、開花期以降の追肥は開花後同化乾物量よりも開花後同化窒素量を増やしたため、子実タンパク質含有率は増加した。吸収された窒素の地上部各器官への分配割合は、追肥時期が遅くなるのに伴い、葉などの同化器官が少なく、穂が多くなった。しかし、登熟中期に吸収された窒素であっても、約4割は一度葉へ転流していた。
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