研究概要 |
1.遺伝子導入系準備と組換え遺伝子の構築 品種,センチメンタルブルー'を用い,アグロバクテリウム法による暗所発芽実生の胚軸を外植体とした遺伝子導入系の効率改善に取り組んだ.CaMV35Sプロモーター:GUSレポーター遺伝子(TiプラスミドベクターpIG121-Hm)を組換え遺伝子とした導入系では,選抜薬剤にパロモマイシン等カナマイシン以外の選抜薬剤を採用することにより再分化効率が改善する傾向を見出した. pIG121-Hmを基本骨格としてPgCP1の発現を抑制するための組換え遺伝子を構築した.PgCP1の5'隣接領域のプロモーター活性を解析するための組換え遺伝子((1)5'領域全域:GUSレポーター遺伝子,(2)エチレン応答因子(ERE)様配列を含む5'領域:GUSレポーター遺伝子,(3)ERE様配列を含まない5'領域:GUSレポーター遺伝子)の構築を完了した. 2.一過的発現によるプロモーター機能の解析ならびに組換え遺伝子の導入の着手 pIG121-Hm(CaMV35Sプロモーター:GUSレポーター遺伝子)ならびに上記1において構築した(1)~(3)のPgCP1プロモーター解析のための組換え遺伝子を,アグロバクテリウムを用いたinfiltration法によって開花段階(ステージII)の花弁に処理したのち,GUSレポーター遺伝子の発現を発色基質X-GlcAを用いて検出したところ,pIG121-Hmを導入した花弁では,アグロバクテリウムを摂取した部位にGUS活性が認められ,この方法による組換え遺伝子導入とレポーター遺伝子の発現が確認された.一方,PgCP1プロモーター解析のための組換え遺伝子については,このステージの花弁では発現が検出されなかった.
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今後の研究の推進方策 |
・キキョウへの遺伝子導入条件の最適化については,選抜薬剤の検討により一定の効果が見られた.引き続き再分化条件も含めた高効率化に取り組むと同時に,PgCP1の発現を抑制する組換え遺伝子の導入を進める. ・花弁におけるPgCP1 5'隣接領域のプロモーター活性解析については,Infiltration法を用いた開花段階(ステージII)の花弁での結果を踏まえ,今後,老化に至る各段階の花弁での活性を評価する.また,プロモーター活性の検出感度を高めるため,蛍光検出を用いた方法を検討する. ・研究代表者は最近の研究で,PgCP1に加え新たなCPase遺伝子(PgCP3~5)を老化直前の花弁から同定している.これらPgCP遺伝子の花弁老化時における発現様式についても検討する必要があると考えている.
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