研究概要 |
システインプロテアーゼ遺伝子プロモーターの機能を解析するため,PgCP1の5’上流領域651 bpを含む組換え遺伝子(5’PgCP1(651):GUS)を開花から老化開始直前までの花の花弁に処理し一過性の発現誘導を試みた.対照区組換え遺伝子(CaMV35S:GUS)を処理した花弁では処理部分に発現が認められたのに対し,5’PgCP1(651):GUSを処理した花弁では認められなかった.この傾向は外生エチレン処理条件(2 ppm,8 h)の花弁でも同様であった.新たに老化開始時花弁から同定された3種類のCPase遺伝子(PgCP3,PgCP4,PgCP5)の花弁における発現様式をPgCP1とともに解析した. PgCP3,PgCP4,PgCP5は花弁老化開始直前から老化時にかけて発現増加し,開花後から老化開始直前にかけて発現増加するPgCP1と発現様式が異なるだけでなく,増加の規模がPgCP1よりもはるかに大きいことが明らかとなった.さらにこれら遺伝子は外生エチレン処理した花弁でも発現増加した.ゲノムDNAからPgCP3,PgCP4,PgCP5の5’隣接領域を単離し(それぞれ,1,727 bp, 1,431 bp, 2,287 bp),プロモーター機能を推定した.PgCP4ならびにPgCP5の5’隣接領域には,これまでに明らかにされているエチレン応答性因子(ERE)様の配列がいずれも複数箇所認められたが,PgCP3の5’隣接領域では決定された塩基配列中にERE様の配列は認められなかった. これらPgCP遺伝子のエチレン応答性を調べるため,開花直後の花の花弁に,処理時間を24 時間に固定し,外生エチレンを0~10ppmの範囲で段階的に濃度を変えて処理した. いずれも1ppm以上の濃度で発現増加が認められ,3種類の遺伝子のエチレンに対する応答性は類似していることが明らかになった.
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