研究課題/領域番号 |
22780028
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
上田 裕文 札幌市立大学, デザイン学部, 講師 (30552343)
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キーワード | 樹木葬 / 森林利用 / 墓地 / 国土保全 / 里山 / 日本:ドイツ |
研究概要 |
樹木葬墓地に焦点を当て、日本とドイツの比較研究を通して、社会が自然環境に求める新たな役割を考察することが本研究の目的である。 2年目である平成23年度は、ドイツの樹木葬墓地の現地調査と文献調査を進めた。ドイツの樹木葬墓地は、「Friedwald(安らぎの森)」と「Ruheforst(静寂の林)」という2つの異なる運営形態を持つ会社がそのほとんどを占めている。この両者の運営の違いを、現地でのヒアリング調査を通して明らかにした。特に、土地所有者、運営会社、森林管理者(森林官)の三者の役割に違いが見られ、森林管理全体の中での樹木葬墓地の位置づけに差異が見られた。また、日本とドイツの墓地空間の歴史と森林利用の歴史を、文献調査を通して整理することで、樹木葬墓地が持つ空間像の違いを考察した。その中で、公共空間として認識されるドイツの墓地空間と森林空間の重なりが、日本における私的で排他性のあるそれらと対比される点が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
仮説であった日本国内の樹木葬を用いた里山保全の事例が、実際には理念に留まることが多く、ほとんど行われていなかったことが日独比較研究を困難にしている。これについては、研究内容の修正が必要である。また、東日本大震災の影響で、国内の寺院での調査が滞ったことが遅れの原因である。
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今後の研究の推進方策 |
樹木葬の具体的な方法の日独比較ではなく、ドイツの成功事例の要因を分析するとともに、日本における課題点を具体的に整理する。 日本において、国土保全や里山保全を目的として樹木葬を導入する際の課題点を整理するため、日本の樹木葬墓地のヒアリング調査を進め、データ収集を行う。また、ドイツにおける樹木葬の成功事例をより掘り下げて調査し、森林管理という側面からその公益的な効果について考察を行う。
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