本研究では、近年関心が高まる樹木葬墓地に関して日独比較研究を行うことで、ドイツにおける樹木葬墓地普及の要因を分析するとともに、日本における課題を具体的に整理することを目的とした。ドイツにおいては森林の多面的な公益機能に加え、新たな利用として埋葬が位置づけられているのに対し、日本の樹木葬は、埋葬の一様式として、墓地の新たな形態を生み出した。さらに、ドイツの樹木葬墓地は、森林所有者と契約を結んだ民間運営企業によって運営され、専門の森林官によって近自然林業の一環として管理されている。一方、日本の樹木葬墓地は、既に多様化が進んでおり、その一形態である森林型の樹木葬墓地は、いずれも寺院の僧侶によって運営管理されており、持続性という観点から共通の課題を抱えている。
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