研究概要 |
プロアントシアニジンの蓄積に関与すると考えられるタンパク質をコードする遺伝子群のうち、これまでの研究から没食子酸の生合成、フラバン3オールのガロイル化を触媒すると想定している3-dehydroquinate dehydratase-shikimate:NADP oxidoreductase(DHD/SDH)、serine carboxypeptidase-like protein(SCPL) について、カキ果実から単離した遺伝子 (DkSCPL1, DkSCPL2、DkDHD/SDH)を35Sプロモーターに連結したセンス、アンチセンスの両コンストラクトを作製し、カルスにプロアントシアニジンを多く蓄積するカキ、蓄積しないキウイフルーツを材料に形質導入をした。これらの形質転換体の分析から、DHD/SDHのアンチセンス形質転換体においてはプロアントシアニジン量とそれを構成するフラバン3オールの生成量が減少していたが、没食子酸やガロイル化したフラバン3オールが減少しておらず、DkDHD/SDHはプロアントシアニジン生合成過程に寄与するが、没食子酸合成を触媒する機能は確認できなかった。次に、SCPL1およびSCPL2の形質転換体についてはセンス・アンチセンスともにプロアントシアニジン量および構成成分の大きな変化は見られず、本年度の実験結果からは生合成への関与は確認できなかったが、得られた形質転換体の個体数が少ないため更なる実験が必要であると考えられた。さらに、DkDHD/SDHについては⊿aroE::KanRを相同組換えによりBL21(DE3)に導入して、BL21 DaroE::KanR(DE3)を得ており、これに導入してシキミ酸経路における機能を確認している。本年度の試験から、これまでに単離したDkDHD/SDHがN末端部分が不完全であるが解ったためこれを決定した上で、in vitroにおける本酵素の機能解析行う必要があると考えられた。
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