研究概要 |
シュンギクは花弁の基部のカロテノイド量が先端部よりも少なく、覆輪模様を生じる系統と花弁全面が濃黄色の単一色を示す全面着色系統が存在する。これらの系統においてゲノム中のカロテノイド酸化開裂酵素遺伝子CCD4の存在の有無についてゲノミックPCRにて解析を行ったところ、調査を行った覆輪系統65個体全てからからCCD4の増幅が確認されたのに対し、全面着色系統8個体からはCCD4の増幅は認められず、ゲノムDNAからCCD4が欠落していることが明らかになった。このことからシュンギクの覆輪形成には0α74が関与しており、CCD4が欠損することによって花弁全面が均一に着色する全面着色系統になることが明らかになった。 また、トレニア'クラウンミックス'白花系統の花弁のカロテノイドによる濃着色部および淡色部において、HiCEP法による差次的発現遺伝子の単離・解析を試みた。HiCEP法は制限酵素と選択的プライマーの組み合わせによって発現している遺伝子を網羅的にプロファイリングするcDNAを用いたAFLPの一種であるが、定量性に優れているという特徴を持つ。本年度は淡色部と濃色部の発現遺伝子のプロファイリングを行ったところ、全体で約19000の発現遺伝子がピークとして検出された。これらピークの高さを濃色部と淡色部で比較したところ、濃色部で淡色部の2倍以上の発現量が得られたピークが300ピーク、淡色部で濃色部の2倍以上の発現量が得られたピークが60ピークであった。このうち、9倍~3.5倍の差を示す34ピークを選び出し、塩基配列を決定した。濃色部で高い発現を示した27ピークにはカロテノイド代謝・蓄積関連遺伝子のホモログが8ピーク(Fibrillin,NXS,LCYB)、光合成関連遺伝子が6ピーク含まれていた。34ピークの中には転写因子と考えられる配列は含まれなかった。
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