研究概要 |
MAMP情報伝達にはMAPK経路が関わっているが、どのような蛋白質がMAPK経路に作用し、制御に関わっているか、ほとんど明らかにされていない。申請者によるこれまでの研究から、U-box型ユビキチンリガーゼであるPUB25およびPUB26が、MAMP情報伝達に関与するMEKK1(MAPKKK)結合蛋白質として単離された。そこで本研究では、シロイヌナズナを使い、上記のユビキチンリガーゼによるMAPキナーゼ経路の新奇調節機構を解析することで、病害抵抗性シグナル伝達機構の一端を明らかにすることを目的としている。 これまでの研究から、1)申請者によって単離されたシロイヌナズナユビキチンリガーゼPUB25,PUB26が、MEKK1に特異的に結合する、2)PUB25、PUB26、およびMEKK1のプロモータGUSコンストラクトによる遺伝子発現解析から、組織特異的な遺伝子発現がオーバーラップしている、3)MAMPによるMAPKの活性化がpub25/pub26二重変異体では野生型より低下していた、以上の結果が得られている。平成22年度は、MAMPによるMAPKの活性化だけでなく、MEKK1-MKK1, 2-MPK4経路の標的遺伝子の一つ、PAD3遺伝子のflg22による発現誘導も解析した。その結果、がpub25/pub26二重変異体ではflg22によるPAD3遺伝子の発現誘導が野生型よりも低下していた。一方、PUB26過剰発現体ではPAD3が野生型よりも強くかつ長時間にわたって誘導されていた。これらの解析から、PUB25およびPUB26がMEKK1-MKKI, 2-MPK4経路に対して促進的に関与することが示唆された。今後は、MEKK1におけるユビキチン化による制御について、がpub25/pub26二重変異体およびPUB26過剰発現体を用いて解析を行ってゆく予定である。
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