新たな糖尿病予防食の開発を目的として、世界で初めて糖尿病予防に大きく貢献する可能性を持つアミラーゼインヒビターを生産する新規乳酸菌(KY5-4株)を島根県特産の発酵食品(蕪漬け)からマイクロプレートを用いたハイスループットスクリーニング法により分離することに成功した。本研究では、世界で初めて分離したアミラーゼインヒビター生産乳酸菌について、生産する新規アミラーゼインヒビターの機能を解明するとともに、アミラーゼインヒビター生産乳酸菌を用いた発酵食品ベースの新しい糖尿病予防食を開発することを目的とした。 KY5-4株を同定したところ、Weissella sp.であることが明らかとなった。次に、KY5-4株の培養液上清におけるアミラーゼ阻害活性を培養条件を変えて調べた結果、培養温度37℃、培養時間14時間目において最大阻害活性22.5%を示すことが分かった。また、アミラーゼ阻害活性は耐熱性・保存性に優れていた。次に、KY5-4株の胃酸・胆汁酸耐性を調べたことろ、他の乳酸菌と比べて比較的優れていたことから、プロバイオティクスとしても有用であることが示唆された。さらに、KY5-4株を用いて蕪漬けを試作したところ、風味豊かな漬物ができ、発酵後の漬け汁のアミラーゼ阻害活性値は発酵前と比べて上昇した。 以上のことから、KY5-4株を生産菌として、もしくは、発酵液上清を食品に用いることでバラエティ豊かな糖尿病予防食を開発できると考えられる。
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