1.6-デオキシ-Dプシコースまでの生産 昨年度の結果を踏まえ、Enterobacter aerogenes IK7による1-デオキシ-L-フルクトースの大量生産を試みた。L-ラムニトール94gから最終的に26gが得られた。昨年度の方法と比較すると変換率が46%と低く、これはジャーファーメンターの使用により溶存酸素量が多くなり過ぎたために資化されたと考えられた。 次いで1-デオキシ-L-フルクトース(糖濃度5%、5g相当)から、固定化D-タガトニス3-エピメラーゼにより1-デオキシ-L-プシコースを生産し、約7日間で平衡に達した(1g相当量)。しかしながら、糖濃度10%(10g相当)でも反応は進んだが平衡に達するにはさらに7日以上必要であった。残念ながらこの工程のこれ以上の効率化は望めないことが明らかとなった。 さらに昨年度検討した水素添加法により1-デオキシ-L-アリトールおよび1-デオキシ-D-アルトリトールを同時に生産した。このときの収率は99%であった。さらにこの混合液を糖濃度2%の条件でEnterobacter aerogenes IK7により6-デオキシ-D-プシコースおよび6-デオキシ-L-タガトースを同時に生産したところ、24時間でそれぞれ87%、83%の高収率で変換されることがわかった。 2.6-デオキシアルドヘキソースの生産性の確認 希少6-デオキシアルドヘキソース、14種のうちL体5種について網羅的に調べた。各デオキシケトースより各種イソメラーゼを用いて、6D-L-グルコース、6D-L-クロース、6D-L-アロース、6D-L-アルトロース、6D-L-イドース、6D-L-グロースについて変換され、各々の平衡比を決定した。今後のデオキシ希少糖の生産に重要なデータが得られた。 3.デオキシ希少糖の新たな生産経路の開発 デオキシ希少糖を用いてスクリーニングし、予想していなかった代謝経路をもつ微生物K44株を得た。これは、D-フシトールから直接6-デオキシ-D-フラクトースを培養上清に蓄積する能力を有し、様々なポリオールで培養した菌体 でも転換活性を示すことが分かった。
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