研究概要 |
ヒトの腸管には多種多様な腸内細菌が生息している.申請者は,近年,いわゆる善玉菌として知られるビフィズス菌が,ヒト自身が分泌する糖質に作用する特異なグリコシダーゼを有していることを見出した.従来,ビフィズス菌は,ヒトの摂取する食餌成分のうち難分解性とされるオリゴ糖(食物繊維)を炭素源として利用して腸管内で生息していると考えられてきたが,実は,ヒトが腸管内に分泌する糖質そのものがビフィズス因子であるとも考えられる.本研究は,ヒトの糖質のうち,特にムチン型糖鎖やミルクオリゴ糖に作用するグリコシダーゼを腸内細菌より単離し,その生理機能から,ヒトと腸内細菌の共生を支えるメカニズムを考察すること,また,それらグリコシダーゼを高度利用して,生理活性オリゴ糖を精密合成することを目的としている。 平成22年度においては,1)フコシダーゼの改変によるルイス糖の合成,2)ビフィズス菌の解糖系の中心酵素であるホスホケトラーゼの構造機能解析を中心に研究を行い,以下の通り,成果発表を行った.
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