研究概要 |
本研究では、乳酸菌の一種口腔内連鎖球菌Streptococcus mutansを材料としてRNAポリメラーゼ結合タンパク質であるSpx分子を介した酸素応答機構の解析を行った。S. mutansは2つのSpxホモログ(SpxA, SpxB)を持つが、両蛋白とも分子内のシステイン残基が酸化されるとRNAポリメラーゼのαサブユニットに対する結合能が上昇した。また、Spx分子の分解系について検討を行った結果、SpxBの分解はClpXPプロテアーゼ複合体に依存していること、一方SpxAはClpXPによる分解を受けず、その細胞内濃度が常に一定であった。しかし、細胞内のSpxB濃度が上昇しても、抗酸化蛋白質の発現様式に影響は認められなかった。以上より、S. mutansのSpxにおいては、細胞内のSpx分子の濃度変化というよりは分子内のシステイン残基の酸化が酸素分圧の感知に重要な役割を果たすと考えられた。
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