モリブデン(Mo)は細胞内で酸化還元酵素の活性申心として働く元素で、広く生命活動に利用される。ところが、生物共通の超微量必須元素であるのにも関わらず、動植物など真核生物のモリブデン吸収・細胞内濃度調節に関わる膜輸送システムの実態は解明されていない。本研究では、単細胞真核生物の酵母Hansepula polymorphaをモデルとして、モリブデン膜輸送関連の変異株の解析を行い、細胞レベルでのモリブデン膜輸送の概要とモリブデン膜輸送に関わる遺伝子群の同定を目的とした。 まず、酵母の細胞内モリブデン濃度を測定する方法について検討を進め、(1)酵母細胞内、で独自の蛍光分子プローブを発現させ、レーザー共焦点顕微鏡で観察する方法、(2)蛍光分子プローブを改良した自己発光プローブを酵母細胞内で発現させ発光分析する方法を開発した。これらの方法で、大まかながら細胞内モリブデン濃度を評価できるようになった。また、(3)動物細胞を宿主として酵母遺伝子を評価する方法を検討した。これらの中間成果について、3回の学会発表を行った。また研究過程で発明した新技術1件を特許出願した。
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