研究課題
本年度は、ビフィズス菌Bifidobacterium longumから見いだしたβ-アラビノオリゴ糖鎖に対する分解酵素群のうち、α-L-アラビノフラノシダーゼ(HypAA)及びβ-L-アラビノフラノシダーゼ(HypBA1)の諸性質の解析を中心に研究を行った。その結果、HypBA1がβ-L-アラビノビオシダーゼ(HypBA2)により切断されて生ずるβ-L-アラビノビオース(β-Ara_2)を切断するアノマー保持型の菌体内酵素であることを明らかにした。HypBA1は、既知の酵素との相同性を有しない新規性が認められ、糖質加水分解酵素ファミリーGH127に登録された。また、HypAAが、β-アラビノオリゴ糖鎖(Ara_4-Hyp)の非還元末端に存在するα1,3結合を特異的に切断するGH43α-L-アラビノフラノシダーゼであることを明らかにした。さらに、Ara_4-Hyp及びβ-Ara_2を炭素源としてB.longumが生育出来ることを明らかにし、それらの洗菌菌体のHypAA及びHypBA2の酵素活性と、破砕菌体を用いてのHypBA1の酵素活性を確認した。なお、L-アラビノース及びグルコースで培養した菌体に酵素活性が検出されなかったことから、本酵素群はβ-アラビノオリゴ糖鎖により誘導生産されると考えられる。これらの結果から、β-アラビノオリゴ糖鎖はB.longumの菌体表層に局在するHypAAとHypBA2により切断された後に菌体内に取り込まれ、HypBA1の作用を受けてL-アラビノースに分解された後、L-アラビノース代謝経路を経て資化されると考えられる。
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応用糖質科学
巻: 1(2) ページ: 153-158
J.Biol.Chem.
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10.1074/jbc.M111.248690
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