研究概要 |
本申請では現在までに報告されている色素依存性プロリン脱水素酵素(Dye-L-ProDH)とは一次構造が大きく異なるPyrobaculum calidifontis、Aeropyrum pernix由来の2種類の新規Dye-L-ProDHの機能と構造を明らかにする目的で研究を行った。平成22年度研究分において、これら2種の新規Dye-L-ProDHの酵素化学的性質の解析が終了したため、本年度はタンパク質結晶化条件の検討とDye-L-ProDHのタンパク質立体構造の解析を行った。 その結果、Aeropyrum pernix由来Dye-L-ProDHについて1.9Åの解像度で立体構造を明らかにすることに成功した。本酵素の立体構造は既知のPyrococcus horikoshii由来のヘテロオリゴマー型Dye-L-ProDHのL-プロリン脱水素酵素活性サブユニットであるβサブユニットと高い相同性が認められた。しかしながら、既知のDye-L-ProDHとはサブユニット間の境界面が大きく異なっていることが明らかとなった。さらに、本酵素のC末端側のペプチド鎖が活性触媒部位をシールドしていることが明らかとなった。特にC末端のロイシン残基は基質であるプロリンと水分子を介して水素結合をすることによって相互作用をしていることが明らかとなった。そこで、本酵素のC末端のロイシンを取り除いた変異タンパク質(ΔLeu-Dye-L-ProDH)を作成したところ本酵素のプロリンに対する親和性が大幅に減少することが明らかとなった。現在、ΔLeu-Dye-L-ProDHの結晶構造解析を進め、C末端アミノ酸のロイシンと基質との親和性の相関関係を明らかにしていく予定である。本研究成果はBioscience, Biotechnology, and Biochemistry誌に掲載された。さらに、現在The Journal of Biological Chemistry誌にも投稿中である。
|