本申請では、現在までに報告されているヘテロオリゴマータイプの色素依存性プロリン脱水素酵素(Dye-ProDH)とは一次構造、四次構造が大きく異なる新規ホモダイマータイプDye-ProDHの機能と構造を明らかにする目的で研究を進めた。本研究において新規ホモダイマータイプDye-ProDHの立体構造解析に成功し、本酵素の詳細な構造を明らかにすることに成功した。 その結果、本酵素はヘテロオリゴマータイプDye-ProDHのL-プロリン脱水素酵素活性サブユニットであるβサブユニットとは立体構造上、高い相同性が認められた。そこで、ヘテロオリゴマータイプDye-ProDH立体構造から予測されている基質からの電子移動経路を本研究で明らかにした新規酵素の立体構造に重ね合わせたところ、本酵素の電子伝達に関与すると考えられるアミノ酸残基がセリンであることが示唆された。そこで、このアミノ酸をシステインに変換したところ天然型の酵素には認められなかったオキシターゼ活性が検出された。このように、本酵素の電子伝達に関与すると考えられるセリン残基をシステイン残基に置換すると電子授与体特異性が大きく変化することが判明した。今後、本アミノ酸残基と本酵素電子伝達の関連性についてさらに詳細に解析していく予定である。 本研究成果はThe Journal of Biological Chemistry誌に掲載された。また、国際極限環境微生物学会でも報告した。
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