研究課題/領域番号 |
22780107
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
今場 司朗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品バイオテクノロジー研究領域, 主任研究員 (20332273)
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キーワード | 分子認識 / 糖鎖 |
研究概要 |
簡便な糖鎖アレイ用の無蛍光検出法として、本研究では糖鎖とその認識蛋白質との結合を電気化学的に検出する技術の確立を目指し、糖鎖アレイ検出技術の基礎を築くことを目的とする。金基板上で、糖がレクチン蛋白質に認識されるのをSPRと電気化学測定により追跡しようとするプロジェクトである。本年度は昨年度作製したガラクトースにリンカーを結合させた化合物がガラクトース認識レクチンによって認識されるか検討を行った。残念ながら、これではレクチンにより末端のガラクトースが認識されない事がSPRにより判明した。そこで本年度は種々のリンカーを調製して検討を行った。トリエチレングリコールビス(クロロホルメート)の代わりに、ドデカンダイオニックアシルクロライドを導入したもの、2-アミノエタンチオールに直接ガラクトースユニットを導入したもの、さらに短くガラクトースユニットを直接金基板に結合させたもの等を合成しレクチンとの反応をSPRにより追跡した。しかし、いずれもうまく認識されなかった。そこで、リンカー同士疎水結合が期待できる11-メルカプトウンデカン酸をリンカーに用い、さらにPAMAMデンドリマーを結合させた後にガラクトースユニットとαグルコースユニットをそれぞれ基板の別の位置に導入したものを合成しレクチンアッセイに供した。SPRにて観察すると濃度依存的にガラクトース認識レクチンがガラクトース部位を、αグルコース認識レクチンがαグルコース部位を選択的に認識している事がわかり、見事金基板上の糖の違いをSPRにより観察する事に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独自手法によりリンカーを開発し、そのリンカーを用いSPRにてレクチンの反応追跡に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度で確立した手法を元に電気化学計測を行う。金基板上に11-メルカプトウンデカン酸、PAMAMデンドリマー、ガラクトースユニットまたはαグルコースユニットを順に結合させる。こうする事によりレクチンにより末端の糖が認識される事は昨年度明らかにしたが、本年度は電気化学測定を狙い11-メルカプトウンデカン酸を導入する際に、様々な割合にて末端にフェロセンが結合した11-フェロセニル-1-ウンデカンチオールを混ぜる。この混合比の違いによりレクチンが末端の糖と結合した際の酸化還元電位の違いを測定し、レクチンの結合を酸化還元電位をはかる事により確認できるか検討する。 また、リンカーにフェロセンが結合した化合物も合成し、レクチンの結合を酸化還元電位の違いとしてとらえる事ができるか検討する。
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