研究課題/領域番号 |
22780107
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
今場 司朗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品バイオテクノロジー研究領域, 主任研究員 (20332273)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 分子認識 |
研究概要 |
簡便な糖鎖アレイ用の無蛍光検出法として、本研究では糖鎖とその認識蛋白質との結合を電気化学的に検出する技術の確立を目指し、糖鎖アレイ検出技術の基礎を築くことを目的とする。金基板上で、糖がレクチン蛋白質に認識されるのをSPRと電気化学測定により追跡しようとするプロジェクトである。 本年度はフェロセンをリンカーに適切な割合にて配合し電気化学的信号を捕らえる検討を行った。金基板上に適切な割合の11-メルカプトウンデカン酸と11-フェロセニル-1-ウンデカンチオールの混合物を流し、SPRを用いてリアルタイムに結合を観察すると共に電気を流した際のSPRの変化を観察した。SPRにより混合物が金基板上に結合したのを確認後、電気を流す事によりSPRシグナルの上昇が観測され表面状態の変化を捉える事に成功した。更に、11-メルカプトウンデカン酸の先端にPAMAMデンドリマーを結合させた後、ラクトース(ガラクトースβ1-4グルコース)とマルトース(グルコースα1-4グルコース)をそれぞれ基板上の別の位置に結合させる事により、末端にβガラクトースとαグルコースを配置した。昨年度はβガラクトースユニットとαグルコースユニットを別途有機合成したが本年度はラクトースとマルトースという二糖を用いて簡便にガラクトースとグルコースを導入することに成功した。βガラクトースを選択的に認識するタンパク質(PNAレクチン)を流したところ、SPRにより選択的にラクトースに結合している事が分かった。更にその際、電気測定(CV)した所、PNAが結合している所と結合していない所で優位な差が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SPRを用いて、金基板上に糖を配置した信号を得ることに成功し、かつその糖に対して親和性のあるタンパク質が結合した信号も得ることに成功している。さらに電気化学的手法により糖に対して親和性のあるタンパク質が結合したものと、していないもの優位な差が認められたから。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度までに確立した手法を元に電気化学計測を行う。金基板上に11-メルカプトウンデカン酸と11-フェロセニル-1-ウンデカンチオールの混合物を最適な比で配置後、先端にラクトースとマルトースを配置してラクトース認識タンパク質の電気信号の違いを観察していたが、本年度はラクトース、マルトース以外の多糖においても電気信号の違いを観察できるか検討を行う。 さらに、より高感度で電気信号の違いを観察する為に、くし型電極上に糖を配置する検討も行う。
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