研究概要 |
簡便な糖鎖アレイ用の無蛍光検出法として、本研究では糖鎖とその認識蛋白質との結合を電気化学的に検出する技術の確立を目指し、糖鎖アレイ検出技術の基礎を築くことを目的とする。金基板上で、糖がレクチン蛋白質に認識されるのをSPRと電気化学測定により追跡しようとするプロジェクトである。 本年度は本プロジェクトの最終年度であり、今までの成果を踏まえより実用的な条件を検討した。昨年度はPNAレクチンが結合している所と結合していない所の電気測定(CV)において優位な差が認められたが、その差はごく僅かでありなかなか再現が得られないものであった。そこで、よりはっきりとして、再現性が良い手法を確立すべく種々検討を行った結果、11-mercaptoundecanoic acidを金表面に導入した後、4,7,10-trioxa-1,13-tridecandiamineを導入、最後にラクトースまたはマルトースを導入することにより末端にβガラクトースとαグルコースを配置した新たなリンカーをデザインし、レクチン(PNAとConA)においては、マレイイミドを介して酸化還元物質であるフェロセンを導入したものを新たに作製し、上記基板と反応させた所、電気測定において顕著な違いが観測された。特に電気測定の一つであるSWV測定時におけるip値(A)は40倍の違いがあり電気測定により糖鎖とタンパク質の結合を追跡可能な手法を確立した。
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