研究課題
本年度は(1)YUCCA(YUC)タンパク質ファミリーの基質特異性、(2)IAAとPAAの輸送機構、(3)PAAのシグナル伝達経路に関する調査を行い、以下の結果が得られた。なお(2)、(3)については研究協力者によって実施された。(1) まずYUC(YUC6)の酵素反応機構の詳細を解析し、YUCがFADとNADPHを補酵素にしてインドール-3-ピルビン酸(IPA)やフェニルピルビン酸(PPA)の酸化的脱炭酸反応を触媒するタイプのフラビン含有モノオキシゲナーゼであることを明らかにした。次にシロイヌナズナのYUCファミリー(11個)のうち異なるグループに属する5個のYUCの基質特異性を調査し、全てのYUCがIPAとPAAに高い親和性を示し、両者に対する酵素反応速度パラメーターに大きな違いが認められないことを明らかにした。(2) トウモロコシ幼葉鞘やシロイヌナズナを用いたIAA及びPAA内生量分析により、PAAがIAAと異なり極性輸送されないタイプのオーキシンである事が明らかとなった。(3) シロイヌナズナを用いたDNAマイクロアレイ解析を行い、IAAとPAAの応答性遺伝子に大きな違いが見られないことを明らかにした。前年度得られたIAA受容体TIR1/AFBファミリーにPAAが認識されている可能性を支持する結果であった。以上の結果より、PAAは植物体内でYUCによりIAAと同じ部位で生合成され、IAAと同じ受容体により認識されている可能性が示唆された。一方、PAAはPINタンパク質などの極性輸送体を介したオーキシン作用には関与しない可能性が示唆された。今後、PAAの生合成や代謝経路を完全解明し、内生PAAが欠損した植物体を作製することがPAAの生理機能を理解する上で重要な課題である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Biological Chemistry
巻: 288 ページ: 1448-1457
10.1074/jbc.M112.424077
http://labs.psc.riken.jp/grrt/