研究課題
フラボノイド類の化学構造の違いは、それらの持つ生理機能の種類や強度に影響するが、その作用機序に関する知見は少ない。近年、フラボノイド類の化学構造の違いが、生体内の「蛋白質との相互作用」に多様性を与え、多彩な生理機能を示す可能性が示唆された。本研究では、フラボノイド類と蛋白質との相互作用を詳細に解析し、結合構造や親和性の強弱を明らかにすることで、フラボノイド類の示す多彩な生理作用の作用機序の解明を目的とした。ヒト血清アルブミンが結合したカラムを備えたHPLC法、QCM法および電気泳動法により、カテキン類と血清アルブミンの相互作用を解析することでフラボノイド類と蛋白質との相互作用に重要な化学構造を解析した。その結果、ガロイル基の有無、B環水酸基の数、およびC環2,3位の立体配置が血清アルブミンとの親和性に強く得影響することを見出した。得られた結果をメチル化カテキン類の結果と比較することで、血清アルブミンとの相互作用には分子の疎水性だけでなくB環およびガロイル基の水酸基を介した蛋白質との水素結合も重要であることが明らかになった。また、フラボノール類、フラボン類およびアントシアニジン類においても、B環部分が蛋白質との相互作用に重要であることが示唆された。また、B環に2つ以上の水酸基を持つフラボノイド類は酸化により蛋白質チオール基とB環部分で共有結合することを見出した。ガロイル基の存在がカテキン類と蛋白質との相互作用に重要であることから、ガロイル基の有無による標的蛋白質や親和性の違いを解析した。カテキン類のB環部分とビーズのチオール基に結合させたカテキン結合ビーズを開発し、プルダウン法を用いたプロテオミクスにより血清や細胞ライゼート中の標的分子を探索した結果、ガロイル基を持つカテキン類はガロイル基を持たないカテキン類に比べて様々な生体蛋白質と高い親和性を持つことを見出した。
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