研究概要 |
大豆イソフラボンであるダイゼインとゲニステインは、主に肝臓において UDP-グルクロン酸転移酵素 (UGT) 及び硫酸転移酵素 (SULT) により代謝され、大部分はグルクロン酸抱合体、硫酸抱合体、およびこれらの二重抱合体となって体内を循環する。そのため、これら抱合代謝物の種類と生成量は、代謝経路に関与する UGT および SULT の酵素活性を反映すると考えられる。本研究の目的は、大豆イソフラボンの代謝を利用し、UGT 及び SULT の活性評価系を確立することである。 平成 24 年度は、以下の研究を実施した。 ゲニステインのグルクロン酸抱合反応に関与する主要な UGT 分子種の同定:昨年度までに実施した酵素反応の結果より、ゲニステインから 7 位グルクロン酸抱合体 (G-7-G) への代謝過程に UGT 酵素分子種 4 種 (1A1、1A9、1A8、1A10) が主要に関与すると判明している。一方、きな粉 10 g 摂取後のヒト血漿中において、グルクロン酸の二重抱合体 (G-4',7-diG) が主要代謝物の一つであることが判明している。これらのことから、ゲニステインから G-4',7-diG への代謝に関与する酵素分子種を解明するため、G-7-G を基質とした酵素反応実験を行った。プールド肝ミクロソームを用い、酵素濃度、反応時間、各種試薬添加濃度について検討し、酵素反応条件の最適化を行った。
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