研究概要 |
本研究はこれまでシカの分布・生息密度が制限されてきた山岳・森林地帯を主要な生息地とするクマの生態、特に食性、行動等にシカの増加が与える影響の調査・解析を行う。本年度は東京都奥多摩山地を調査地として調査を実施した。具体的な実施内容は、(1)シカの増加前後の時期におけるクマの食性比較、(2)過去のクマ食性履歴の復元による時系列的なシカの影響の評価。(3)クマの行動に与えるシカの影響・誘因性調査。具体的には 調査1:シカの増加前後の時期におけるクマの食性比較 奥多摩地域で食性調査を行い,既存研究事例(シカ増加前後の時期間あるいはシカ増加有無の地域間)とのクマの食性を比較することで,食性に占めるシカの割合の違いを明らかにした. 調査2:過去のクマ食性履歴の復元による時系列的なシカの影響の評価 昨年度の丹沢山地に引き続き、奥多摩地域でクマの体毛の採取を行った.4月よりクマの捕獲を開始し,6頭を捕獲・体毛の採取を行った.収集した体毛は,過去のものとともに安定同位体比解析を実施した. 調査3:クマの行動に与えるシカの影響・誘因性調査 奥多摩地域でGPSによるクマの追跡調査から,クマの集中利用域を解明した.集中利用域の踏査により,クマの行動に与える直接的な影響を定量的に評価した.
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