本研究の目的は、中山間地域における集落の機能不全に因る消滅及び集落群の連鎖消滅を回避するため、集落対策の議論・対策の土台となる、集落機能レベルを集落間連携の実態も交えて客観的に把握できる手法の開発に取り組むことである。 平成24年度の研究実施計画では、集落の機能レベルを推測するモデルの改良と定住政策との関連付けを行い評価手法として取り纏めるまでを想定した。 平成24年度は、モデルの改良を目的として、前年度までの指標選定作業で統計情報が無く不十分であった部分について、集落機能の発現要因・条件まで深めて集落活動や集落構成員の実態を調査することで、補完可能な指標選定に繋げるべく取り組みを進めた。その過程において、集落構成員の質や集落を構成する各世帯の関係性(世代的、血縁的等の切り口)などの様々な調査結果から、機能発現条件の特異性や限界性、集落の状況との連動などが見られた。これらの結果は、これまでの集落構造とこれからの集落構造においては、劇的ともいえる構造変化が引き起こされる可能性を示唆する結果であり、これまで作成を進めてきた基本構造を普遍とみなすモデル構造では、必要とされる集落機能評価に耐えられないことが明らかになった。これを踏まえて、途中から多段階の集落状況に対応する新しいモデルの作成に着手したが、研究期間中の完成には至らなかった。研究助成期間は平成24年度で終了であるが、引き続き新モデルの構築作業を進めていくこととしている。
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