食用、薬用きのこ(担子菌類)であるシイタケにおいて、遺伝子機能解析技術を確立し、育種上有用な遺伝子を特定する技術の開発を行っている。本研究では、子実体形成などに関わる遺伝子の発現抑制方法の確立を目指し、シイタケにおいて遺伝子破壊法の開発を目指している。22年度において、シイタケ用遺伝子破壊用ベクターを効率よく構築し、さらにそのベクターのマーカー遺伝子を脱落させるための配列(lox-P)を導入したベクター(Dels-Gate-loxpベクター)の構築を完了した。現在、シイタケに形質転換を行い。有効性を確認しているところである。 さらに、遺伝子破壊効率が高く、一核菌糸体(半数体)で子実体を形成するシイタケ菌株を開発することで、子実体形成に関連する遺伝子の機能解析を効率化することを目的としている。22年度において、シイタケにおけるゲノム配列の解読を行い、子実体形成遺伝子の発現を負に制御している遺伝子(pcc1)、非相同組換えに関わる遺伝子(Ku80)の遺伝子配列の決定を終了している。現在これらのDels-Gate-loxpベクターを利用して、遺伝子破壊用ベクターの構築を進めている。pcc1遺伝子破壊により、一核菌糸体(半数体)で子実体を形成するシイタケが得られることが期待され、Ku80破壊により、効率的な遺伝子組換え用の菌株が得られることが期待できる。 また、最終目的として、シイタケ栽培に関わる重要形質に関連する遺伝子の特定を目指していることから、pcc1遺伝子破壊株及びKu80遺伝子破壊株を利用して、子実体形成に関わる遺伝子の発現抑制を行うことを想定している。
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