光周性関連遺伝子はモデル植物により機能が明らかにされ、さまざまな生理プロセスに影響を及ぼすことが示されている。樹木においても多くの生理プロセスが光周性関連遺伝子により支配されていると考えられるが、その基礎となる光周性関連遺伝子のリソースが整備されていない。本研究課題は日本および世界で主要な造林樹種であるカラマツをモデルとし光周性により影響を受けると考えられる材質等の有用形質の評価を行い、同時に光周性関連遺伝子の単離と塩基配列の決定を行い、発現解析と連鎖解析を通して両者の関連性を明らかにすることが目的である。 今年度は、他植物種で単離された光周性関連遺伝子群の配列情報を元にした縮合プライマー法により単離されたCONSTANS遺伝子の部分配列をもとに、TailPCR法を用いてその全長を決定した。これをもとに設計されたPCRプライマーを用いてRealTime PCRによる発現量の比較の条件検討を行った。発現解析に用いるため、表現型の異なるクローンを無性繁殖させ、次年度の解析のためにインキュベーター内で育成した。 光周性に影響を受ける形質としてカラマツのバイオマス蓄積量に影響を与える材密度に着目し、材密度の異なるクローン間で材形成フェノロジーと日周期との関係性を求めた。その結果、どのクローンも夏至以降に早材から晩材へと移行することが明らかとなり、材形成フェノロジーは遺伝子型に関わらず日長の変化により同様の影響を受けることが明らかとなった。これらのクローンの交配家系個体よりサンプルとDNAを採取し、遺伝子と形質の連鎖解析のための準備を行った。
|