光周性関連遺伝子はモデル植物により機能が明らかにされ、さまざまな生理プロセスに影響を及ぼすことが示されてい る。樹木においても多くの生理プロセスが光周性関連遺伝子により支配されていると考えられるが、その基礎となる光周性関連遺伝子のリソースが整備されていない。本研究課題は日本および世界で主要な造林樹種であるカラマツをモデルとし光周性により影響を受けると考えられる材質等の有用形質の評価を行い、同時に光周性関連遺伝子の単離と塩基配列の決定を行い、発現解析と連鎖解析を通して両者の関連性を明らかにすることが目的として行った。 前年度に引き続き、光周性に影響を受ける可能性が考えられる材密度について、交配家系についての材密度を測定した。材密度の異なるクローン間での交配家系の個体(1977年植栽)より採取した成長錐サンプルを2mm厚のストリップに加工し、軟X線デンシトメトリ法による材密度と年輪パラメータ(年輪幅、年輪平均密度、晩材率、晩材密度、早材密度)の測定を行った。3精英樹のダイアレル交配家系より計581個体について形質データの測定を終了した。 候補遺伝子と対象形質との連鎖解析に向けてベースマップの作成のためのジェノタイピングを行った。連鎖解析に用いる個体に対して、AFLPマーカーによるジェノタイピングを進めた。 昨年度に引き続き、配列を決定したCONSTANS相同遺伝子について、連鎖解析用個体の親個体を対象に変異の探索を行ったが、現在までに変異箇所は見つかっていない。
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