研究課題
ヒラメやカレイ類(異体類)では、放流事業のための種苗生産過程で変態の異常に起因すると考えられる奇形が出現して問題となっている。本研究では、健苗育成に必要な稚魚発生に係る基礎的知見を集積することを目的として、魚類変態機構の分子メカニズムを解明するためにメダカをモデルとして発生遺伝学的な研究を行っている。22年度は特に、変態期の組織・細胞の挙動を生きたまま経時観察するために、これらの組織をGFPなどの蛍光レポーターで標識した系統の作出に取りかかった。まずは遺伝子導入を効率的に行うことができるI-SceIメガヌクレアーゼ法を適用するためのベクターシステムを構築した。緑色蛍光タンパクをコードするGFPと、赤色蛍光タンパクのmCherryおよびTdTomatoの3種類のレポーターについて、それぞれI -SceI認識配列を有するベクターカセットを作成した。組織特異的プロモーターをクローニングしてこれらのベクターに組み込むことにより、各組織を蛍光タンパクでラベルする系が確立された。変態に重要な組織を標識するための組織特異的プロモーターとしてthyroglobulin(tg)遺伝子を計画していたが、転写開始点が複雑で比較ゲノム解析に墓づいた進化的フットプリントのデータも有効性が高くないことが分かってきた。現在、甲状線で発現するtg以外の遺伝子についても組織特異的プロモーターの候補として検討に入っている。甲状腺等、変態に重要な組織を蛍光観察できる系統を樹立しで発生過程を経時的に観察する。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
Reproductive Biology and Endocrinology
巻: 9 ページ: 45
J.Exp.Zool.B : Mol.Dev.Evol.
巻: 314B ページ: 33-56