研究課題
本年度は、ウイルス感染時におけるギンブナT細胞とB細胞の生体内の動向をモニターすることを目的に、(1)Crucian carp hematopoietic virus(CHNV)感染後のヘルパーT細胞、キラーT細胞およびB細胞の割合をフローサイトメトリーで解析し、(2)カルボキシフルオレセイン・ジアセテート(CFSE)で標識したドナー細胞のレシピエント内での動向を追跡できるかどうかを調査した。本年度の結果を以下に示す。(1)致死量以下のCHNVを腹腔内接種により感染させた後、感染8日目と16日目に各臓器の血球を分離し、T細胞とB細胞の割合を解析したところ、脾臓では、キラーT細胞の割合が有意に低下した一方で、B細胞は有意に上昇した。また、体腎では、ヘルパーT細胞の割合が有意に上昇した。末梢血白血球、鰓、頭腎、腸管における、ヘルパーT細胞、キラーT細胞やB細胞の割合の有意な変動はみられなかった。(2)CFSEで標識したドナー細胞を同系のクローン魚に移入し、3日後にレシピエントの血球を分離し、フローサイトメトリーで解析したところ、各臓器において、0.1~7.0%のドナー由来の細胞が検出された。移入したドナー細胞は、脾臓で平均約3%と最も高く、鰓で0.1%以下と最も低い割合であった。この結果から、CFSEで標識したドナー細胞をレシピエントに移入することによって、ギンブナ体内におけるT,B細胞の動向が追跡可能であることが明らかになった。以上のことから、来年度以降に実施予定である、養子移入免疫研究によるウイルス感染時における細胞性免疫と液性免疫の役割を調査するための重要な知見が得られた。
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