研究課題
エドワジエラ症に対する感染防御における液性免疫、細胞性免疫の役割についてギンブナを用いて調べ、以下の成果を得た。1)E.tardaの生菌(LC)およびホルマリン不活化菌体(FKC)を接種後、抗体価を指標として液性免疫応答を調べたところ、両試験区ともに抗体価の上昇がみられたものの、FKC接種区のほうが有意に高い結果を示した。しかし攻撃試験の結果、死亡率はFKC試験区のほうが高かったことから、E.tarda感染時に液性免疫は誘導されるが感染防御には関連がないことが明らかとなった。2)LCおよびFKC接種後、細胞性免疫を制御しているIFNγおよび細胞障害時のエフェクター因子であるPerforinの腎臓白血球における遺伝子発現を指標として細胞性免疫応答を評価した。LC接種区ではFKC接種区およびPBS接種区と比較して強い発現が確認されたことから生菌接種により細胞性免疫が強く誘導されていることが示唆された。さらに生菌接種時に細胞障害性丁細胞(CTL)が誘導されるかを調べるため、フローサイトメーターにより全腎臓白血球に占めるCD8α+細胞の割合の増減を経時的に調べた。その結果、CD8α^+細胞の割合は増加するとともに細胞表面のCD8αの発現頻度が増加したことからE.tarda生菌を用いた感作によりCTLが誘導されていることが示唆された。以上の試験結果よりE.tarda感染時に細胞性免疫が誘導され、またCTLが感染防御に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、エドワジエラ症に対して不活化菌体によるワクチネーションでは感染防御能を付与できないことについて、不活化菌体では感染防御に十分な細胞性免疫能を持たせることができないことに原因があることが明らかとなった。
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Developmental and Comparative Immunology
巻: 35 ページ: 88-93
巻: 35 ページ: 650-660