研究概要 |
Foxo1およびPPARγは,それぞれ単独で脂質蓄積を抑制および促進する転写因子であるが,PPARγの脂質蓄積促進作用はFoxo1との結合によって阻害される。本研究では,脂質の組織分布が顕著に異なるマダイおよびトラフグにつきFoxo1およびPPARγの機能解析を行い,両分子が魚類の魚種特異的な脂質蓄積に果たす役割を明らかにすることを目的とする。 本年度は,まずトラフグFoxo1の局在制御機構を調べた。野生型トラフグFoxo1を,Flagタグとの融合タンパク質としてラットL6筋芽細胞に強制発現させた。抗Flagタグ抗体を用いた免疫染色の結果,トラフグFoxo1は無血清状態では核に局在すること,培地にヒトIGF-Iを添加すると細胞質へ移行することが明らかとなった。また,哺乳類Foxo1のリン酸化部位に相当する3つのアミノ酸残基をアラニンに置換したトラフグFoxo1変異体では,IGF-Iによる細胞質への移行が阻害された。これらの結果から,トラフグFoxo1の局在は,哺乳類の相同分子と同様にIGF-I依存的なリン酸化によって制御されることが示唆された。 次に,野生型トラフグFoxo1が同魚種のPPARγに結合するかどうかを大腸菌発現系を用いて検討した。両タンパク質をそれぞれGSTおよびHisタグとの融合タンパク質として大腸菌で発現させ,抗GST抗体を用いたプルダウンアッセイに供した。抗Hisタグ抗体を用いたウエスタンブロットにより,両タンパク質が特異的に結合することが示された。
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