研究概要 |
噛Foxo1およびPPARγは,それぞれ単独で脂質蓄積を抑制および促進する転写因子であるが,PPARγの脂質蓄積促進作用はFoxo1との結合によって阻害される。本研究では,脂質の組織分布が顕著に異なるマダイおよびトラフグにつきFoxo1およびPPARγの機能解析を行い,両分子が魚類の魚種特異的な脂質蓄積に果たす役割を明らかにすることを目的とする。 昨年度までに,トラフグFoxo1がPPARγとin vitroで結合することを明らかにしている。本年度は,トラフグおよびマダイにおけるPPARγの組織分布を検討し,本分子が魚類の脂質蓄積に果たす役割を検討した。さらに,PPARγの下流で機能する酵素リポタンパク質リパーゼ(LPL)の組織分布についても両魚種で組織分布を調べるとともに,今後の展開に備えて抗体を作製した。 PPARγのmRNAはトラフグ筋肉では検出されなかったが,マダイ筋肉ではわずかに検出された。また,LPLのmRNA量は,トラフグの肝臓では筋肉のそれぞれ63および29倍と顕著に高かった。一方,マダイでは筋肉と比較して,肝臓ではそれぞれ3.0および21倍,脂肪組織ではそれぞれ7.8および6.7倍であった。以上の結果は,トラフグ筋肉ではPPARγが機能していないためLPLの転写量が低く,脂質が蓄積しない可能性を示している。 LPL抗体の作製にあたっては,様々な魚種で利用できるようにトラフグ、ゼブラフィッシュ、ニジマス、メダカ、ヒト、マウスLPLの共通配列を抗原とした。作製した2種類の抗血清を用いてウエスタンブロットを行ったところ,対応するペプチドがそれぞれ認識された。
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