研究課題/領域番号 |
22780191
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
高橋 肇 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (40413116)
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キーワード | 食品微生物 / 遺伝子 / 腸内細菌科菌群 / リアルタイムPCR |
研究概要 |
近年、食品の衛生指標とする菌群の検査は、これまで日本で行われてきた衛生指標菌検査である「大腸菌群」ではなく、国際的に「腸内細菌科菌群」を指標とした検査に移行してきている。しかし、腸内細菌科菌群の迅速で簡便な検出・定量法およびその同定法は確立されていない。本研究では、分子生物学的手法を用い、腸内細菌科菌群の菌数を数時間で検出・定量できる手法を構築し、あわせてDNA多型解析法による簡易同定法を確立することを目的とし、研究を遂行した。 初年度までに腸内細菌科菌群(Enterobacteriaceae)のPCR検出法の構築として細菌に普遍的に存在するハウスキーピング遺伝子であるrp1P遺伝子(ribosomal protein L16)領域に、腸内細菌科菌群特有の配列を見いだし、その配列を基にプライマーを設計、評価を行った。本年度は確立したPCR検出法を食品中の腸内細菌科菌群の定量へ応用するため、リアルタイムPCRを用い定量法を検討した。また、ISO法に定められた培養法と比較し、その検出能力の検討も行った。具体的にはプライマー設計後、腸内細菌科菌群および非腸内細菌科菌群を用いて確立したPCR法が腸内細菌科菌群のみに特異的に反応することを確認後、段階的に希釈した数株の腸内細菌科菌群の培養液からDNAを抽出し、これをテンプレートとしリアルタイムPCRに供した。菌数とPCRの検出サイクルから検量線を作成し、菌種により定量性がかわらないことを確認後、この検量線を用い実際の食品中の腸内細菌科菌群の菌数を求めた。求めた菌数は培養法と比較し、本法による測定菌数が培養法と大きく変わらないことを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年にわたる研究計画のうち、最終的に目指している食品中の腸内細菌科菌群の定量技術が本年度までにめどをつけることができており、この内容で成果の発表、特許の出願に至っているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画にある通り、腸内細菌科菌群の迅速定量、同定技術を確立するため、次年度以降おもに同定技術について検討を進め、菌数の定量のみならず簡易に同定する技術の確立について検討を進める予定である。
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